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認知症をきっかけに再び動き出す家族 2010-03-20
かつて子どもに辛い体験を強いた父親が、認知症によってひとりでは生活ができなくなる。それぞれに生活していた2人の子どもが父親と再会し、ふたたび家族が動き出す模様を淡々と描いた作品です。

兄妹はすでに中年ですが、どちらも家庭を持つには至っていません。その不器用さが滲み出るように伝わってくるところが、作品のひとつの見どころでしょうか。2人ともドラマを人生の糧に選びながら、現実や過去への対処は正反対です。感情を素直に出し、また、過去をドラマに描いて昇華させようとする妹に対して、理性的な思考によってシビアな現実を分析し対処しようとする兄。紛失した枕の行方に顔を引きつらせて奔走する妹、錘を下げて身動きが取れないリハビリ中の兄の姿がことに印象的でした。どちらも人生の対処に行き詰っていながら、近しい他人にとって愛おしい存在であることにじんわりと泣かされます。

老いた父親もまた、恋人の死によって浮世離れした町から退去を余儀なくされ、臭気の漂う老人施設への入所で現実に直面する。突然、延命処置だの埋葬の仕方だの問われて、人生の終焉が近くまで来ていることを知らされます。しかしながら、兄妹が家族というものの現実に直面しているのに対し、父親は自ら感覚を閉ざして家族からは離れていくようです。その死にざまが幸せであったかどうかはわかりませんが、心やさしい介護士のように、人生のしがらみを脱して死んでいく姿を誰かが見守っています。

最後に登場する犬の姿には考えさせられました。認知症の人々にとって、再び生き生きとした生活を取り戻す方法は何でしょうか。人の手でそれが生み出せるものなら、と願わずにはおれません。


さらに詳しい情報はコチラ≫


この記事は2010/3/24に作成しました。
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